盗撮してましたよね?


「すいません。今、 盗撮してましたよね?」
僕が声をかけるなり、男性の顔色が変わるのがわかりました。

「間違えてたら、本当に申し訳ないけど、さっきのあなたの行動を後ろから見てました」
「今、警察を呼びますので、カメラは触らないでください」

自分の声が震えてるのがわかります。
間違えてたら、こっちが訴えられるかもだし、相手が逆ギレして攻撃してきたら勝てる自信ないですから。

しかし、彼は動揺を隠さず、「あ」とか「う」とか言いながら、目を泳がせるだけでした。

(よし、完全にクロだ。)
そう、確信した僕は110番通報。

やや間があってから

「すみません。酔った勢いでやってしまいました」

彼が僕の後ろの方へ向かって謝りだしました。

(???)

後ろを振り返ると、隠れてたはずの女性が仁王立ち!

(えぇー、隠れてって言ったよね?ホント危ないから!顔覚えられたら後々やばいかもでしょー)

と、心の中で突っ込むも、怒り心頭の彼女から立ち込めるオーラがハンパなかったので黙ってました。

数分後に警察がやってきました。
彼は先にパトカーで警察署へ。

僕と女性は現場検証を行う予定が、終電も過ぎていたため、地下鉄への通路は閉鎖。
結局翌朝に持ち越しとなりました。

警察署で事情聴取を受ける(僕が)


その後、警察への同行を求められ、これも善良なる市民の役目と思ったのが、面倒のはじまりでした。
この時点で深夜1時を回っており、酔いはさめているものの眠くてしゃーない。

警察署の事務所で話でもするかと思いきや、取調室へ案内されました。
(旦那ぁ、こちとら通報者ですぜ。なんでこんな目に合わなきゃいけねぇんですかい?)
と、思わなくもなかったのですが、話のネタになると思い刑事さんの後について行きました。

四畳半ほどの部屋は、音楽室にあるような穴の開いた白い壁。
蛍光灯の光が寂しげに光っています。
部屋の奥には、グレーの机を一つ挟んで、椅子が向かい合わせに置かれていました。
入り口側には、もう一つ小さな机と椅子。

机の上には電気スタンドはなかったです。

無機質な感じの部屋で、若いイケメンの刑事さんから事情聴取を受けます。

まずは自分の身分照会から。
今後のために自分の身元ハッキリさせなきゃいけないのはわかりつつも、ちょっと納得がいかなかったです。

眠気もあってか不機嫌さが態度に出てたのでしょう。
イケメン刑事が(お時間もとっている上にすみません)という丁寧な態度で接してくれたので、気を取り直して話をつづけました。

「犯人の特徴」、「犯行時の様子」、「犯人・被害者とは面識があるか」みたいなことを聴かれました。
事細かに聴取した内容を記していくイケメン。
所々漢字を間違えているイケメン。

事情聴取が終わったのは、草木も眠る丑三つ時(二時)を回った頃でした。
翌日(というか当日)は、朝の8時に現場へ向かうことになり、パトカーで自宅まで送ってもらったのでした。
 

俺は犯人じゃないっつーの!

朝、眠い目をこすりつつ、現場へ。
被害者の女性は、すでにそこに居ました。

彼女も昨夜の内に警察で事情聴取を受け、帰宅は二時を回っていたとの事。

「なんか、余計なことしちゃったみたいですみません」

謝る僕に、彼女は自分にも隙があったので、声かけてもらってよかったと言ってくれました。
そして、今後は夜遅くなるときは、親に迎えに来てもらうようにするとも言ってました。

昨夜は怒りのあまり隠れずに出てきてしまった事、昨日酔っていた事や、以前痴漢にあった事についてもこの時に聞きました。

やがて、警察官がやってきて現場検証開始。
当然犯人は来るはずはなく、僕、彼女、警察官三名(内一人は女性)の五名でした。

エスカレーターは動いているので、併設する階段を使用しての検証。
どれくらいの位置で、どのような行動をとっていたかを伝えながら、写真撮影。
顔は映らないように撮ってましたが、これ僕が犯人っぽく見えなくもないスか??

通勤・通学時間のため、階段を行き交う人の目もなんだか冷たく感じられます。

(いやいや、俺は犯人じゃないっつーの!)

後で考えてみたら、警察官A(男性)が犯人役で警察官B(女性)が被害者役で、もう一人が撮影すればいいことでは??と、思いました。

なんやかんやで30分ほども過ぎたでしょうか。
被害者の女性が仕事があるということで、現場検証終了。
彼女は、地下鉄へと向かったのでした。
自分は、この日休みだったため、家に帰って二度寝をしたのでした。

ちょっとした義侠心で、通報したけど面倒な・・・

善良なる一市民としての責務を果たし、彼女の中で防犯意識が芽生えた事に安堵を覚え、犯罪を犯してしまった彼が更生することを願うばかりです。







その時に知り合った彼女が、今、隣でこの記事を読みながら、

(あの時そんな風に思ってたんだ)

と、笑っています。







なんて、そこまで都合のいい話がある訳ねーだろっ!!

彼女の名前も連絡先も知らねーよっ!!

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では、したっけね~。